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神道・神社史料集成(古代):はじめに

神道・神社史料集成(古代)

はじめに

岡田 莊司

 このデータベースは、本プログラムの主たる研究分野である「神道・日本文化の形成と発展に関する調査研究」の一環として作成された。本テーマは、本学が建学以来長年培ってきた文献学的研究法に基づいて考察が進められる。
 文献学的研究とは、総合テーマに掲げた「国学的研究」の根幹をなす。ここでいう「国学的研究」とは、特定の分野に限った研究ではなく、主体性を有した研究姿勢で、客観性に立脚した精密な実証的研究一般を指す。「国学」を大学名に冠している本学には、本事業で「国学的研究」に率先して取り組み、その成果を発信することが求められている。
 ここで主たる研究対象となるのは歴史的事象としての神道である。神道が日本文化の形成・発展と維持とに及ぼした影響は頗る大きく、神道と日本文化の関係を中心に、神道の実体・機能を、おもに文献資料(史料)を駆使して、歴史学的・実証的な研究により解明していくことが研究主眼となる。
 神道は、信仰の基軸の存在を示しながら時代時代における情勢に影響を受け、発展・展開してきた歴史的経緯を持つ。つまり、時代の変化のなかで展開していく諸事象に神道が表現される点ばかりでなく、日本人の精神の奥深いところに神道が存在している点を理解すべきであろう。したがって、時代の変化に対応する神道の世界とともに、一方では、時代を通じて一貫して維持されていく神道の本質を明らかにしていくことが、本研究の重要な作業となる。

 神道とは何かと問われれば、それは古代から現代まで、神祇信仰展開の「場」となってきた神社を対象に、祭祀・年中行事をはじめとした諸相を把捉・理解することが、もっとも正攻法の研究といえよう。しかし、総合的な神社研究は、現在まで必ずしも十分な成果が上げられていない。そこで神社関連文献資料の収集を本研究の中心・骨子とする所以である。
 収集の手法は明治期国学の集大成である『古事類苑』編纂方式をモデルとしている。この古代神社のデータベースでは、約500社(式内大社・神階四位以上等)を対象に、六国史をはじめとする基礎文献を収集した。
 今後これを用いて、時間的な神社信仰の実態把握を進め、さらに中世から近現代へとその流れを追跡する。そうすることにより、神社を中心とした神道の全体像が浮かび上がることになる。